立て替え払いをしたとき
健康保険では、いったん医療機関等に全額支払った費用について、後で健康保険組合から払い戻しの給付を受けられる場合があります。
立て替え払いをしたとき

旅先で急病になったときなど、マイナ保険証等を持たずに医療機関で治療を受けた場合、医療費を全額自己負担しなければなりませんが、立て替えた保険診療分の金額については、当組合に申請して払い戻しを受けることができます。
このような立て替え払いに対しておこなわれる給付を「療養費」といいます。
- 参考リンク
このようなときも療養費が支給されます
健康保険では、次のような場合も「療養費」が支給されます。
療養費の支給対象事由 |
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生血液の輸血を受けたとき |
保険医の指示により、義手・義足・義眼・コルセットなどの治療用装具を購入、装着したとき
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保険医の同意を得て、はり・きゅう、あんま・マッサージ・指圧の施術を受けたとき
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9歳未満の小児が小児弱視等の治療で眼鏡・コンタクトレンズを作成・購入したとき |
下記の疾患の治療のため弾性着衣等を購入したとき
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スティーヴンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症の眼後遺症により、輪部支持型角膜形状異常眼用コンタクトレンズを購入したとき |
海外で病気やけがをしたら
海外の医療機関で受診した際に支払った医療費も「療養費」として払い戻しを受けることができますが、以下の点にご注意ください。
【注意事項】
- 支給対象となるもの
健康保険法において療養費とは「保険者(健康保険組合)がやむを得ないと認めるときに限り支給されるもの」とされています。
すなわち、治療目的で海外渡航した場合は支給対象となりません。
また、日本の保険医療機関で治療を受けることが困難であると客観的に認められない場合にも支給対象とはなりません。
その他、内容によって支給対象とならない治療もありますので任意保険にご加入いただくなどご配慮ください。 - 支給額の算出について
日本国内の医療機関等で、同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額を支給します。- ※海外で支払った医療費の総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも支給額が大幅に少なくなることがあります。
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支払った費用のすべてが給付の対象となるとは限りませんので、海外で支払った医療費の総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも支給額が大幅に少なくなることがあります。
- ※治療内容のレベルや治療費は国ごとに異なるため、海外の病院で発行された診療内容明細書と領収明細書に基づいて、国内の健康保険で定めた治療費を基準に算定した額が給付の対象となります。
- 請求にあたっては診療内容明細書、領収明細書、渡航の事実が確認できる書類(パスポート等)の写し、海外の医療機関等に照会を行うことの同意書の添付が必要になります。
- 添付書類が外国語で作成されている場合は翻訳が必要になります。
- 日本国内で保険適用となっていない療養は給付の対象になりません。
- 療養の目的で海外に出向き、療養を受けた場合は支給の対象になりません。
入転院するときに著しく移動が困難なとき
移送費(被扶養者の場合は「家族移送費」)
病気やけがにより歩行することが著しく困難な患者が、医師の指示のもと治療のため入院または転院しなければならないときは、移送にかかった費用が「移送費」として支給されます。
こんなことにご注意ください
- 医師が一時的・緊急的に移送の必要性を認めた場合に限ります。
- 事前(やむを得ないときは事後)に健康保険組合の承認を受けることが必要です。
- 通常の通院費用など、緊急性の無い場合は給付対象になりません。
移送費を受けられる基準
医師が一時的・緊急的な移送の必要性を認めた場合で、かつ次のいずれにも該当すると当組合が認めた場合に支給されます。
- 移送の目的である療養が保険診療として適切であること
- 療養の原因である病気やけがにより移動困難であること
- 緊急その他やむを得ないこと
給付内容
最も経済的な通常の経路および方法により、移送された費用を基準に算定された額(その額が実費を超えた場合は実費)が「移送費」として支給されます。
移送費の支給対象となる費用
支給の対象となる費用は、
- 自動車、電車などを利用したときは、その運賃
- 医師や看護師の付き添いを必要としたときは、原則として1人までの交通費など
です。付き添いの医師や看護師による医学的管理に要した費用を患者が支払った場合は、療養費として支給されます。移送費は歩行不能または困難な患者を移送するために支給されるもので、通院のために利用する交通機関の費用、入院に必要な寝具その他の身の回り品の運送費用などは認められません。
接骨院等にかかるとき
ねんざや打撲の際、接骨院(整骨院)を利用する場合もあるでしょう。しかし、接骨院等は保険医療機関ではなく、施術を行う柔道整復師も医師ではないため、健康保険でかかれるのはごく限られた範囲に限られます。
健康保険でかかれる範囲
健康保険の適用となるのは、外傷性が明らかな以下の症例に限られます。
- ※内科的原因による疾患は含まれません。
- ※いずれの負傷も慢性的な状態に至っていないものに限られます。
●骨折・脱臼
- ※応急手当の場合を除き医師の診察の上での同意が必要です。
●打撲・ねんざ・挫傷(肉離れ等)
こういう場合は健康保険でかかれません
以下のような場合は健康保険扱いにならないため、施術費用は全額自己負担となります。
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Case 1
日常生活での疲れによる肩こりのため、近所の接骨院で施術を受けた。単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術に健康保険は使えません。 -
Case 2
数年前に傷めたひざが再び痛み出したので、接骨院で施術を受けた。過去のけがや交通事故の後遺症などは健康保険の対象になりません。 -
Case 3
けがをして医療機関で治療中だが、早く治したいので接骨院にも通院している。医療機関と重複受診している場合は、接骨院等で健康保険は使えません。 -
Case 4
長い間にわたる関節痛で、痛み出すたびに接骨院に通院している。症状の改善がみられない、長期にわたる漫然とした施術に健康保険は使えません。 -
Case 5
神経痛やリウマチなどからくる痛みのため、接骨院に通院している。医療機関で治療すべき病気・けがに起因する痛みなどへの施術に健康保険は使えません。 -
Case 6
仕事から帰宅途中で骨折し、近くの接骨院に運ばれた。通勤時や業務上のけがなどは労災保険扱いとなります。詳しくはこちらのページをご覧ください。
施術内容は必ずチェックを
接骨院等での施術費用は、原則としていったん患者が全額を負担し、事後に健保組合に申請して7割分の還付を受ける「療養費」の取り扱いとなります。しかし、利便性が考慮された結果、都道府県との協定を結んでいる接骨院等では、療養費の支給申請を柔道整復師に委任することができるようになり、保険医療機関と同様、原則3割の自己負担のみで施術を受けられるしくみになっています。
しかし、委任するとはいえ、「療養費支給申請書」には自署・捺印を必ずしなくてはなりません。これらを求められた際は、負傷原因や負傷部位など記載事項に間違いがないか必ずご確認ください(白紙委任には応じないでください)。
領収書を必ずもらいましょう
接骨院等は、領収書の無料発行が義務づけられています。医療機関にかかった際と同様に、領収書は必ずもらっておきましょう。
事後の施術内容の確認にも使えますので、施術内容の内容ごとに金額が細かく書かれた明細書ももらっておくとより望ましいですが、明細書の発行は有料の場合もあります。
ご注意ください
健保組合から施術内容などについてお問合せすることがあります。
健保組合では、健康保険を使って接骨院等の施術を受けた方に、後日、施術内容や施術経過、負傷原因等の照会をさせていただく場合があります。保険料を適正に活用するため、照会業務へのご理解とご協力をお願いいたします。
なお、柔道整復師(接骨院等)のかかり方については、組合機関紙『金型健保だより』にも掲載していますので、ご参照ください。